各館の出来事
東北福祉大学
芹沢銈介美術工芸館
1989(平成元)年 6月 23日 開館
宮城県仙台市青葉区国見1-8-1
ヒアリング調査:2012/10/30
構 造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
---|---|
規 模 | 東北福祉大学 国見キャンパス2号館1・5・6階 |
年間来館者数 | 平成21年度 16,018人 平成22年度 15,000人 平成23年度 3,289人 平成24年度 10,364人 |
震災の被害について
建物の被害
- 天井のルーバー落下
- クラック
- スプリンクラーの擦れ
- ガラスの割れ
人的な被害
なし
資料の被害
土器、陶器の破損(借用品 10 点、収蔵品16 点)
※借用品は修復して返却
備品等の被害
- 可動式の展示ケースの転倒
- 収納棚の移動
施設管理に関するヒアリング調査まとめ
震災発生当日の様子
- 来館者:0名(展示品入れ替えのための休館日のため)
- 職員数:職員6名(学芸員2名、事務員3名、研究1名)学生2名 展示業者4名 計12名
- 地震発生直後、展示入れ替え作業を中断し、大学の総務課の指示で館外へ避難。施設に施錠し、立ち入り禁止とする
震災発生当日の施設閉鎖までの経緯
15:30広場で待機。大学の災害本部に招集され、そちらの業務を行う。
震災直後の様子 3月12日~3月末日までの期間
職員の業務
帰宅できない学生への対応(震災後5日間、6名交代制で泊まり込み)。
- 学食冷凍庫の食材の炊き出し
- 学生の安否確認
- 保護者の対応
- 関係者の出入りの確認
- トイレの管理
工芸館の業務
- 転倒したものを起こす
- 収蔵品の整理、片付け(段ボールに入れる等)
施設内(建築、設備、備品、資料など)の正確な被害状況の把握
- 次に工芸館に入ったのは 3月 13日学生2名 業者4名(日通美術品課2名、表具関係2名)
- 3月 13日9:30に学芸員2名が目視で 1、5、6 階の被害確認。ヘルメットを着用し15~20分に1度建物から出るようにした
復旧支援など、協力者の来訪
震災後1週間以内に、大学の営繕課に依頼された業者が来館した。
施設再開まで
夏期休業中 10 月5日 |
改修工事 一部開館(1階のみ) →学生の使う施設を優先的に改修するため、当初工芸館は1年間閉館の予定だった |
---|---|
2012年4月 | 全館開館 |
改修工事以外の復旧業務
学芸員 | 収蔵品の片付け、整理 借用品の修復、返却 新しい企画、展示の考案 秋田県仙北市の美術館への作品の貸し出し(10月) |
---|---|
事務員 | 大学の事務 |
復旧支援など、協力者の来訪
7月19日、9月9日 文化財レスキュー来館。
- 石巻文化センターの資料298件(被害を受けていないもの)を工芸館に保管してほしいとの依頼
- 工芸館の書類の搬入を手伝ってもらう
※工芸館から石巻へ行くことはなかった。
※破損した借用品の修復の際、博物館に東京の業者を紹介してもらった。
施設閉鎖中の震災前に利用していた市民や活動団体との連絡
特になし(主に学生向けであり一般向けではない)。
施設再開後
来館者への災害対応における留意・確認点
- サイン計画は避難経路がわかりやすいようにしている
- 節電を呼びかける表記をするようになった
- 人員配置を検討
管理・運営方法で震災前と変更した点
従来、会期中無休だったが、企画展中も休館日を設けるようにした(日・祝日)。
利用状況で変化した点
年間利用者数:震災前 16,000 人 2012年度 12,000~13,000 人(予想)に減少する見込み。
その他
企画立案・運営方法について、震災後の課題
展示の仕方や固定の仕方を変更した。
地域との関係において震災前後で変わった(変えざるをえない)点
- 他の施設の視察などを定期的に受け入れるようにした
- 市民の方から郷土玩具を寄贈したいという申し出があったが、収集方針が合致しないため、歴史民俗資料館を紹介し、受け入れて頂いた
地域におけるミュージアムの役割が震災前後で変わったと感じる点
- 市民が文化財を寄贈したいときに、受け入れ可能な博物館を市民に示す必要がある
- 1つでも多くの資料や作品を残す
- 地域という訳ではないが、大学との連携の中で、震災に関して様々な試みを考える必要がある
事業・企画に関するヒアリング調査まとめ
震災当日から施設再開まで
再開当日、使用者や来館者の様子から特に感じたこと/市民(活動団体含む)から、寄せられたメッセージ
- 開館してうれしいという声が寄せられた
- 静岡市の芹沢銈介美術館、千葉県柏市の郷土資料館で応援の展覧会が行われた(2012年1月)
- 北海道の巡回展も支援してくれた
その他
企画立案・運営方法について、震災後の課題
- 芹沢銈介の思想を研究し展示に活かすべき(その土地の暮らしや文化を伝える)
- 工芸品などの修復についても、東北の作品は東北で修復できるシステムや、そのような産業、人材を育てていくことも重要である