各館の出来事
仙台文学館
1999 (平成 11)年3 月 28日開館
宮城県仙台市青葉区北根 2-7-1
ヒアリング調査:2012/10/23
面 積 | 敷地面積:62,968㎡ |
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建築面積:2,377㎡ | |
延床面積:4,693㎡ | |
構 造 | 鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規 模 | 地上3階 |
年間来館者数 | 平成21年度 48,333人 平成22年度 37,388人 平成23年度 27,209人 平成24年度 41,255人 |
震災の被害について
建物の被害
- 1階エントランスホール天井パネル落下
- 2 階エントランスホールの木製床タイルが、空調用冷温水管断裂による漏水で吸水し膨張、床全体がゆがむ
- 2 階天井の照明器具、空調ダクト等が脱落、落下
- 3 階常設展示室入口天井パネル落下
- エレベーター塔屋廻り表面亀裂
- 外部軒天落下
人的な被害
なし
資料等の被害
収蔵書架の移動・振動によって書籍が散乱
※収蔵資料の破損等は報告されていない
施設管理に関するヒアリング調査まとめ
震災発生当日の様子
来館者:22 名
職員数:職員 8 名 警備員 2 名 設備 1 名 厨房 1 名 受付 3 名 収蔵庫 1 名 スタジオ 1 名 計17名
合計39 名
利用者は外に避難させたが、地震災害時のマニュアルの作成や避難訓練を日常的に行っていた訳ではなく、職員の動きはスムーズにはいかなかった。
震災発生当日の施設閉鎖までの経緯
館の外に避難→2人 1 組で被害状況の確認→幼少の子供がいる職員を優先に帰宅させる。
避難時において、困った点
スタッフが避難誘導などに不慣れであった。
震災直後の様子 3月12日~3月末日までの期間
- 3 月中は基本的に散乱した本の片づけ (明るいうちに帰宅)
- 瀬名秀明企画展の資料の対応
- (普段なかなかできなかった)資料の整理
地震発生当日に普段の用途と変えて使用した部分
基本的には休館とし、用途変更はなし
施設再開まで
- 落下パネルの撤去さえ終われば運営再開は可能という話であった。 しかし漏水による床のゆがみがなかなかとれず、目途がつかなかった
- 再開(6月22 日)の1か月前にアナウンスした
- ビス打ちが必要であったため、ビスを打つ際の騒音の関係で再開前に工事した
改修工事以外の復旧業務
3月中と同じ。
復旧支援など、協力者の来訪
特になし。逆に受付業務のスタッフなどは他の施設に応援に行った。
震災前に利用していた市民や活動団体との連絡
発災後かなり時間が経過してからお見舞いの連絡が来ることはあった。
再開までの復旧過程で、参考とした資料及び事例等
事前に館としてリスクマネジメントを行っていた為、大きな被害になりにくいという点があった。
施設再開後
来館者に対する災害対応における留意・確認点
- 職員は意外とパニックにならず、ある程度適切な判断ができていた
- 足元の木製パネルにシールを貼って注意をうながした(再開後当初は来館者用に掲示も行った)
施設貸出しに際する留意・確認点
震災に関しては全ての情報を公開することで利用者への説明に替えている。
利用状況で変化した点
- 文学館まつりにおいて年齢層に変化が見られた(シニア→ファミリー)
- 企画展の日数と来館者が増加した
- 里山整備によってウォーキングで訪れる人は少し増えた
- 昨年度は来館者が減少したが、今年度はその分戻って来た感じである
その他
エレベーター棟の被害から、何か変化はありましたか?
独立した造りのため被害が大きかったが、エポキシ樹脂を注入する修繕をした。
最終の復旧工事が終わったのはいつですか?
2012 年 1 月の中旬。
事業・企画に関するヒアリング調査まとめ
震災当日から施設再開まで
使用者に対する災害対応における留意・確認点
- 文学館以外での企画の場合、災害時対応の打ち合わせが増えた
- 揺れた時の来館者への対応
- 避難の誘導方法の確認
企画立案・運営方法で、震災前と比較して変更した点
- 展示作業、業務に対してより慎重になった
- 展示方法も変化した(ワイヤー → 釘打ち)
- 震災を踏まえた企画に対しては、十分に内容を検討して慎重に扱っていきたい
- 地震後は以前よりも言葉や表現への気配りを心掛けている
その他
地域との関係において震災前後で変わった(変えざるをえない)点
大きくは変わってない。まず普通に戻すことが一番大事。もとに戻って来た人もいる中で、まだ全く戻っていない人もいて、そんな中で文化・文学作品の言葉がどんな意味を持つのか、それをずっと考えている。
震災を経験したことによる他の文学館から情報提供の打診など
全国文学館協議会に出席した時に震災に対する話題が出たり、経験を踏まえた発表を求められたりする。
今後想定されている課題
- 芦屋市の谷崎潤一郎記念館では、阪神大震災の後、運営していた外郭団体がなくなったという体験をきかされており、仙台市でも予算縮小や査定がシビアになることなどが想定される。