各館の出来事
仙台市八木山動物公園
1936(昭和11)年 開館
宮城県仙台市太白区八木山本町1-43
ヒアリング調査:2012/12/10
面 積 | 延床面積: 飼育施設:6,728.85㎡ |
---|---|
管理施設:7,476.26㎡ ビジターセンター:1,883.63㎡ 売店・食堂・休憩所:423.42㎡ |
|
構 造 | ビジターセンター:木造2階建 売店・食堂・休憩所:鉄筋コンクリート造,鉄骨造,木造 |
年間来園者数 | 平成21年度 528,018人 平成22年度 470,733人 平成23年度 461,771人 平成24年度 478,090人 |
震災の被害について
建物の被害
- 駐車場法面崩落/段差発生
- ビジターセンター自動扉ガラス破損
- 売店の壁レンガ崩落
- サイ、カバ舎のボイラー煙突亀裂
- サル山亀裂
- 猛獣舎の木組み崩落
- 猛禽舎の壁崩落
人的な被害
なし
ヒアリング調査まとめ
震災発生当日の様子
利用者:約30名(仙台駅まで送迎) 職員:30名程度
震災発生当日の施設閉鎖までの経緯
- 施設内を30分~1時間程度巡回し、基本的な被害状況と動物の状況などを確認した
- 職員5名を宿直とし、24時間体制をとった
- ライフラインの停止(断水、停電、ガス、暖房ストップ)
- 暖房は重油で対応
- 石油ストーブは館内の備品にて対応
発災直後に影響を受けた動物
震災で直接的に被害を受けた動物はいなかったが、震災直後は温度管理が難しかったため寒さで死亡した動物や、餌の変化や余震のストレスで体調を崩した動物もいた。
- チンパンジー:代替えの餌を食べず、低血糖症による一時昏睡状態に陥る
- カバ:冬は屋内プールを温水で維持していたが、震災後やむを得ず中水(再利用水)で管理→一時起立及び歩行困難となる
- アオメキバタン:暖房が故障し、数日後死亡
震災直後の様子 3月12日~3月末日までの期間
復旧支援など、協力者の来訪
- 給水:8t積載の給水車を手配し、茂庭浄水場から3往復して水を運搬、また地下鉄工事の施工会社からも支援あり
- 餌の支援要請 発注していた餌類が物流の遮断で納入目途が立たず
(在庫:水禽用ペレット約7日分・草食獣用ペレット約10日分・草食獣用乾草約12日分など) - 三陸沿岸部が壊滅的被害を受けたため、魚類の入手が不可能になった
3月12日 上野動物園経由で日本動物園水族館協会による餌の支援を要請した
3月18日 第一陣 乾草・ペレット類
3月26日 第二陣 ペレット類・冷凍魚・猛禽用など
3月29日 第三陣 ペレット類・ヘイキューブなど
4月4日 第四陣 ペレット類など
震災直後、農産物の被害や物流の遮断のため、動物たちが食べる野菜や果物、固形飼料などが不足する事態に陥った。このような中、日本動物園水族館協会からの加盟動物園・水族館への呼び掛けにより、全国の22の動物園・水族館からエサの支援があり、当面必要なエサを確保することができた。このほか、山形県河北町や多くの個人からも支援があった。
施設再開まで
・4月13日~4月15日 | サル山の仮復旧工事(ニホンザル) 震災で亀裂のはいった岩山を崩し、ヒューム管や単管パイプをつないだものを設置した。復旧工事をしていた約3日間、ニホンザルたちは別の建物で3~4頭ずつに分けて飼育 |
|
---|---|---|
・4月15日~ | サル山にサル戻る |
施設再開までのスケジュール 決定の経緯、判断基準
ライフラインが復旧したことで開園の気運が高まった。また、4月中旬に市長から再開可能な施設、特に動物園とサッカー場は早く再開するようにとの指示があったことで、再開を急いだ経緯がある。
復旧支援など、協力者の来訪
日本動物園水族館協会による餌の支援(第一陣~第四陣)。
施設再開後
利用状況
4月23日に開園し(休園42日間)、23・24日の来園者数は約16,000人。
管理・運営方法で、震災前と変更した点
特別処置
- 再開日の4月23日(土)と翌日24日(日)の2日間は、入園料を無料とした
- 平成22年3月13日から平成23年3月11日までの間に発行された年間パスポートは、有効期限を1カ月延長した
その他
企画立案・運営方法について、震災後の課題
発災当日は来園者が少なかったが、施設の特性として子どもが多い日、来園者が多い時間帯などの場合の避難方法、誘導の仕方などは検討すべきである。ライフラインが停止した場合の代替案、日本動物園水族館協会等との情報交換、マスコミへの情報提供などを想定し、検討しておく必要がある。
設備などの定期点検を年2回行っているが、自家発電や受水槽など災害時に機能すべき設備の点検を重点的に行うことが求められる。
停電時のセキュリティーについて
基本的に生態展示をしている当園では、電気柵による動物の獣舎外への逃走を防いでいる。そのため停電時には、機能しないため、安全を考え屋内獣舎のみでの飼育になる。また、通水できないため各獣舎での水が使用できない。そのためこのライフラインの回復が遅いと、個体差はあるが生物の生存に直接影響を与える。