各館の出来事
スリーエム仙台市科学館
1990(平成 2)年9月開館
宮城県仙台市青葉区台原森林公園 4-1
ヒアリング調査:2012/12/12
面 積 | 敷地面積:16,144㎡ |
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建築面積:5,374.99㎡ | |
延床面積:12,207.70㎡ | |
構 造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造及び一部鉄骨造 |
規 模 | 地上 5階、塔屋 2階 |
年間来館者数 | 平成21年度 157,640人 平成22年度 151,041人 平成23年度 137,446人 平成24年度 178,690人 |
震災の被害について
建物の被害
- 壁 クラック
- 3 階・4 階展示室/特別展示室吊天井一部落下
人的な被害
なし
資料の被害
・「古象の行進」(マンモス、ナウマンゾウ、シンシュウゾウ、アウグステンゾウ、アフリカゾウ)破損 (台座部分に大きな損傷、一部に倒壊の恐れ)
・化石標本類の位置 ・展示物(「仙台平野を渡る雁」他) ・「静電気でダンス」 ・「樹木」基礎部分 ・「トリチェリーの真空」 ・「鉄分の調べ」内部容器 ・「香りファクトリー」内部容器 ・「ヤコブのはしご」 ・標本類 ・書類、図書、ビデオテープ ・図書閲覧室 ・収蔵庫等の大型標本棚 |
擦れ多数 落下多数 転倒 破損多数 破損(水銀が散乱) 破損 転倒→薬品漏えい 転倒倒壊 位置ズレ(「電波を見る」傾斜等)、転倒多数 落下散乱多数 図書散乱多数 移動 |
備品、設備等の被害
・実験室、研究室ロッカーの一部 ・大型冷蔵庫 ・受変電設備 ・空調設備 ・温冷水発生機 ・給排水設備 ・エレベーター ・エスカレーター |
転倒、水槽水流出、棚からの落下物多数 移動 制御室遠隔操作不能 高電圧受電設備制御用バッテリー充電不能 排気ダクト等破損(5 階ダクトの被害甚大) エントランスホール天井ダクト落下の恐れ 防振、防水装置破損(アンカーボルトが破断し本体が移動) 高架水槽からの配管破損→漏水 ドア外れ、ガイドローラー破損 ギア破損 |
その他の被害
- 地割れ
- 東側市道が約 20mにわたり地盤沈下
施設管理に関するヒアリング調査まとめ
震災発生当日の様子
- 来館者:14名
- 職員50名程度(業者約30名程度も含む)
- 来館者は外の広場に移動
- 17:00には来館者は帰宅
- スタッフが手分けして目視で被害確認
→4階の排気ダクトの損傷などを確認。つり天井が広範囲で崩落 - 20:00頃にはスタッフも全員帰宅
- 自家発電は稼働
震災直後の様子 3月12日~3月末日までの期間
職員の業務
- 3月中は館内の片付け
- 継続して展示品の修復作業
- 3月中に業者による基本点検と応急対応は終了
- 3月13日の夕方に電気が復旧。2週間後に水道が一部復旧(西側のみ。東側は4月末に復旧)
- 4月14日ガス復旧
復旧支援など、協力者の来訪
3月下旬から4月上旬、ボランティアの協力により片付け。ボランティアからは早い段階から支援の申し出はあったが、建物の安全が確認されてから協力を頂いた。特に収蔵庫の被害が大きく、その部分の片付けで支援を頂いた。
施設再開まで
- 基本的な改修工事は、6月末位までに終了
- 3月中には再開に向けた方針を立てた
- 4月7日の地震のほうが展示物の被害が大きかった
- ゾウの骨格標本の修復が難しかった(当初は京都の業者に積算を依頼)
- 市の予算の執行許可が下り次第修復依頼を開始
施設再開後
来館者への災害対応における留意・確認点
大人数集まる場合は必ず避難経路を案内するようになった。避難経路を再確認。団体客用のHPで伝達。
管理・運営方法で震災前と変更した点
- 再開しながら、2011年秋から天井等の耐震工事などを行う。4ヶ月間は部分開館
(夏の特別展の際は応急工事を行い、全面開館) - 夏休みの展示は、空調の状況がわからない部分が大きく、再開時期は8系統のうち2系統は効かなかった。扇風機などで対応
利用状況で変化した点
- 理科教育の支援を目的に、震災前から県外の遠足や修学旅行の受け入れを行ってきた。再開した年度は大幅に減少したが、今年度はその数が少し戻ってきた
- 再開後の特別展では一日2000名の来館者があった。通常は1200名前後、開館以来最大の来館者
- 科学館の中学生対応講座における地学の分野の講座の中で、地震のメカニズムを説明するようになった。選択講座だが2011年の後半では地学が一番人気だった
その他
展示品の修復で難しかった点は?
- 展示の固定方法は、象の展示は4本から6本足にして固定。修復自体は京都の業者に発注した
- 細かい展示の修復は業者発注と館内のスタッフにより対応
改修工事のポイントは?
- つり天井補強方法などを変え必要な部分以外は撤去(仙台市は補正予算で改修工事予算を策定)
- 全国の科学館関係のシンポジウムにて報告
事業・企画に関するヒアリング調査まとめ
企画立案・運営方法について、震災後の課題
「るねっ・サイエンス(科学の力で復興するということ)」をテーマに掲げている。原子力発電所の復旧作業対応ロボットが発災前から館内に展示物としてあったので、それらを利用して展示している。
文化財レスキュー関係
石巻文化センターなどへ文化財レスキュー等に職員を派遣した。自然科学系の博物館は県内でも総合的な科学館は仙台市科学館だけなので、該当する部分は担当している。
- 文化財レスキューより預かっているものを展示予定
- 来年度震災関係の展示コーナーを設置予定
- 蒲生干潟の状況を研究しているので、その状況も展示予定
地域におけるミュージアムの役割が震災前後で変わったと感じる点
科学館では、地域というよりも学校とのつながりが強く、このつながりが震災の起きる前よりも非常に強くなった。学校の理科教育のサポートが重要な機能なので、理科室に被害があった (試薬がこぼれたなど)との問い合わせがあり、学校とのつながりを再確認した。