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2011/02/04
歴史民俗資料館と牛馬
みなさんは普段の生活の中でどのような動物と接しているでしょうか。イヌやネコ、小鳥などはペットとして身近なものですが、それ以外の動物となるとどうでしょう。現在ではなかなか近くにはいないかもしれません。
ほんの少し前までは、私たちのくらしの中にはいろいろな動物がいました。彼らにはそれぞれに役割があり、人間の生活にさまざまな関わりをもっていました。イヌは番犬あるいは猟犬であり、ネコは養蚕(ようさん)を営む家では蚕(かいこ)の繭(まゆ)を食べてしまうネズミを捕まえる役目を任されていました。特に牛や馬は農作業に欠かせない動物で、田起こしや代かきなどで牛馬の鼻取りをした記憶をお持ちの方も少なくないでしょう。また牛馬は荷物の運搬にも活躍し、満載の荷車を黙々と引く姿は頼もしくさえみえたことでしょう。現在も各地に馬の供養碑(馬頭観世音の石碑)などが残されていますが、かつての人間と動物が深い関係にあったことが思い起こされます。
時代が変わり、車が普及すると共に街中から牛馬の姿は徐々に見えなくなり、私たちのくらしも様変わりしていきました。農作業の場でも機械化がすすんだことは言うまでもありません。
歴史民俗資料館では、牛や馬が田畑を耕すために使っていた大きな農具も展示しています。牛馬の力を借りながら農作業に精を出していた父母あるいは祖父母の時代に思いをはせると、人間だけの力で今の世の中が形作られているわけではないことに改めて気づかされることでしょう。
次回は、仙台市博物館からの予定です。どんな動物に関するレポートかお楽しみに。
仙台市歴史民俗資料館 畑井洋樹