ARTICLE
2020/03/10
SMMAクロスイベント「きみも富沢博士!~みる・しる・さわる ”かせき”のひみつ~」実施レポート
2月15日と16日の2日間、みちのく博物楽団と東北大学総合学術博物館と地底の森ミュージアムの3団体によるクロスイベントを実施しました。
今回は、昨年度までの「化石への興味のきっかけ」のワークショップから、「化石への興味を深める」ワークショップとして行いました。前回、「宮城県ではどんな化石が見つかっているの?」という質問が参加者からたくさん出ていたので、それにこたえるべく、宮城県や仙台市で見つかっている化石の標本を中心にご紹介しました。自分の住む地域から色々な種類の化石が見つかっていることにみなさん興味を持っていました。
まずは、化石ってどんな風にできるの?という話題からスタート。
みちのく博物楽団の学生がアイデアを出し、地底の森ミュージアムや東北大学総合学術博物館が所蔵する仙台周辺、宮城県内の植物化石を使って、化石のできかたについて、実際に標本を手に取りながら知ってもらいました。
さらに化石から環境を読み解くことができることを、森に関する化石の標本と海に関する化石の標本を使って考えてもらい、触って観察してもらいました。
「この化石の生物が生きていた時代はあたたかかったのかな?さむかったのかな?」
「海にいる生物なのかな?陸にいる生物なのかな?」
みちのく博物楽団がヒントとなるパネルを出しながら、みんなで考えました。
続いては、地底の森ミュージアムの展示室の見学へ。
実は、富沢遺跡からも昆虫の化石が見つかっているんです。
「この昆虫は、今は北海道でしか見つからないんだよ。ということは?」
「ゲンゴロウって、どんな場所にいる昆虫か知ってる?」
投げかけた質問に、参加者の子どもたちは、さきほど研修室で学んだことをふまえて回答してくれました。
最後は、今はいなくなってしまった生物と、今もいる生物との違いについて。みんなが大好きな化石、アンモナイトを通して進化を考えてみよう!というものです。
もともと化石に興味を持っている子たちが多く、専門的な単語も多く飛び出していました。
今回の体験では、観察の際にルーペではなく、スマートフォン用のマクロレンズを使用しました。写真を撮ったり、スマートフォンの画面に映った標本について保護者の方とお子さんで話をしてもらったり、それぞれの方法で観察を楽しんでいただけたようです。
また、参加のお子さんたちのメモの多さに、びっくり!標本のスケッチをはじめ、気になったことをどんどんメモしていきます。こちらでお渡ししていたかんさつシートがあっという間になくなり、途中で追加がほしいとたくさん声をかけられました。
普段の地底の森ミュージアムでの講座と違い、自分たちと年齢が近い大学生のお兄さんお姉さんがいたことで、質問がしやすかったようです。参加者アンケートにも「質問がたくさんできて良かった」という言葉がたくさん並んでいました。普段、東北大学の総合学術博物館で解説を行っていたり、出前講座を行ったりしているみちのく博物楽団のみなさんだからこそ、子どもたちとのやり取りがスムーズにいったのだと思います。
また、次回以降に向けて振り返りも行いましたが、今回のやり方に満足せず、改善できることが多くあがりました。どうアプローチしていけば、より参加者のみなさんに分かりやすく伝えられるのか。それは、大学生のみなさんにとっても、ミュージアムで働く私にとっても尽きない悩みです。振り返りで出た意見を元に、次回以降もより良いワークショップを目指していきたいと思います。
2日間のワークショップを終え、参加者の子どもたちの楽しそうな表情や保護者の方の興味深そうな表情も忘れられませんが、みちのく博物楽団のみなさんの充実した表情も印象に残っています。
今後も、こうした大学生、大学博物館との連携を行っていくことで、これまでと違った新たな角度でのミュージアムの魅力を発見、発信していけるのではないでしょうか。
保護者の方を含め、参加者のみなさんにとって地域の化石や遺跡についての興味関心を深めることができていれば、非常に嬉しく思います。
仙台市富沢遺跡保存館(地底の森ミュージアム) 鈴木英梨
ワークショップリハーサルのようす
アンモナイトの観察
観察シートにはメモやスケッチがたくさん!
みちのく博物楽団のみなさんの熱心な解説
年表を使って時代の長さを知ったり
博士に色々な質問をするコーナーもありました
紹介した標本や、みちのく博物楽団のみなさんの力作パネル
みちのく博物楽団の紹介パネル