SMMA SENDAI MIYAGI MUSEUM ALLIANCE 仙台・宮城ミュージアムアライアンス

ARTICLE

SMMAクロスイベント 八木山動物公園×天文台 「知られざる天空の動物たち」レポート

2010年8月29日(日)

 八木山動物公園南門、18時。陽のまだ残る、蒸し蒸しする夕方です。まだ一時間前なのに到着している方がいます。その後も来場者はとぎれません。空には一番星がまたたき始めました。広場には天文台からの移動天文車「ベガ号」も到着しました。開始15分前、室内会場となるビジターセンターは、もう熱気につつまれていました。親子、ご家族、友人どうし、ご夫婦などなど。どなたも「どんな動物に会えるんだろう」「星が見えるかな」と、好奇心でワクワクしているのがわかります。

 今夜は「知られざる天空の動物たち」。八木山動物公園と仙台市天文台のクロスイベントです。星座になっている動物と実際に接し、動物にちなんだ星を夜空に見上げます。
時間になると最初に、八木山動物公園の阿部敏計主幹と大内副園長から今夜の内容が説明されました。奥の暗い部屋には星座の形にライトアップされた動物の剥製や模型が用意されていること、生きている動物にさわれるコーナーもあること、そして、屋外に待機しているベガ号から星を見ること。
そのあとで、ちょっとだけ星座のお勉強。仙台市天文台の松下真人学芸員の解説を聞きながら、天文台発行のフリーマガジン『ソラリスト』夏号に載っている星図を頭の上にかざして、これから観察する夏の夜空を想像します。こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブで結ばれる「夏の大三角」の話し、おおぐま座の中に、ふくろう星雲というこれまた動物が隠れているという愉快な話しなどなど。ベガとアルタイルのことは、学芸員レポート「空に輝く動物たち」にも書かれています。


 ビジターセンターの奥の暗い室内に足を踏み入れてまず目に飛び込んでくるのは、ひときわ大きな段ボール製のキリンです。LEDライトが配置され、きりん座がどんなかたちになっているのかわかります。他にも、はくちょう座、カメレオン座、わし座、おおぐま座など、それぞれの剥製に星座がライトアップされていて、天空の中を歩いている気分。パネル解説でそれぞれの星座について知ることができるようになっています。
動物にさわれるコーナーの方はどうでしょう。

 へびつかい座のパネルの前にヘビがいます! 大人も子どもも興味津々。こわいけれども、動物公園の職員さんがいる安心感もあってか、子どもたちはヘビを両手に満足げ。ヘビくん、ニョロニョロと頭をもたげて大人気です。
ほんどふくろうのふくちゃんは、ふくろう星雲のパネル前にある止まり木でおとなしくしています。幼い頃から人間と接していると、いやがらずにむしろなでられるのを喜ぶのだそうです。かたわらにいるウサギも、なでられたりだっこされたりして、もてもてでした。

 広場では、ベガ号に搭載されている20センチ望遠鏡と、三脚式の10センチ望遠鏡2台で星の観察をおこないます。天文台の職員6名、ボランティアスタッフ6名がフル稼働で望遠鏡の調整と星空の解説をしてくれます。「木星の縞が見える!」とみなさん大興奮。肉眼ではひとつの星にしか見えないはくちょう座の二重星アルビレオも、しっかりふたつに見えました。空を見上げると、ベガ、アルタイル、それにデネブもそろって、天空をかける鷲と白鳥でつくられる「夏の大三角」が輝いています。

 残念ながら後半は空が曇り始め、星は見えたり隠れたり、観察も難しくなってきてしまいました。それでも雲間からときおりのぞく星のすがたに「見えたー」と大きな声があがったりしています。手の届かないはるか彼方にあるからか、星を探求する気持ちの高揚は、古今東西、老幼を問わないのでしょう。

 時計の針が20時をすぎました。ビジターセンターの席に着いて、「おなかがすいた」「もう眠い」とつぶやき始める子どもたちもちらほら。そろそろお疲れのご様子ですね。この日の参加者は26組75名。動物にさわったり、望遠鏡で星を見たり、空にいる動物たちのことを学んだり。猛暑だった今年の夏の一日の楽しい出来事でした。

 ところで、解散の前にちょっとしたサプライズがありました。今夜のイベントを、友達への誕生日プレゼントとして申し込んでくれた人がいたのです。皆で祝福し、お友達には動物公園と天文台からもささやかな贈り物が手渡されました。

 それからそれから。そろそろ後かたづけを始めようかなと考えていたときのこと。「これ描きました」と、幼い子がやってきて、スタッフに絵をくれました。

ヘビの絵でした。ありがとう!

(SMMA編集室)

その他の記事